親知らずについて
親知らずとは、第三大臼歯のことをいいます。前歯から数えて8番目の歯であり、親が知らない間に生えてくることから親知らずと言われるようになりました。親知らずは18歳頃に生えてくることが一般的ですが、もともとない方もいれば、あるけれど生えてこない方、しっかり生えてくる方などタイプは様々です。
生えてくるときの痛み
親知らずが生えてくる際に歯茎のあたりに違和感や痛みを感じる方がいらっしゃいます。親知らずは磨きづらく、痛みの原因が歯周病や虫歯の可能性もありますので、違和感を感じたら一度歯科を受診するようにしましょう。
親知らずと歯並び
親知らずと歯並びの関係性について
加齢変化として歯並びは少しずつガタガタになることが言われています。その原因の一つとして親知らずが生えてくる時に、前の歯を押して歯並びが悪くなることがあります。レントゲン写真で親知らずの向きなどを検査して、悪い方向を向いていた場合には抜歯することをおすすめします。
矯正治療について矯正の際の親知らず抜歯の意味
矯正治療をする際に、あらかじめ親知らずを抜いたり、矯正治療終了後に抜いたりすることがあります。これは手前の歯の動きを良くしたり、治療後の安定性を高める(後戻りを防ぐ)ために検査をして決めていきます。
親知らずの痛みの
原因について
痛みの原因
生えてくる時に違和感やお痛みを覚えることがあります。一番多いのは、歯の頭が少しだけ生えている場合に歯磨きが難しいため、細菌に感染し、歯周炎(智歯周囲炎)や虫歯になってしまい、痛みがでるケースです。親知らずが大きな虫歯になると痛みだけでなく、歯が脆く柔らかくなってしまうため、抜歯を自ら困難にしてしまうケースがあります。虫歯が大きくなる前に、早めの処置が抜歯の際の侵襲を少なくすることに繋がります。
親知らずが、仕事や勉強の追い込み時に痛むことが多いのは、お身体の免疫や抵抗力が落ちているときに親知らず周囲の歯肉に細菌感染と炎症が起こりやすくなるためです。これを智歯周囲炎と呼びます。妊婦さんは、つわりによって歯ブラシが疎かになってしまったり、妊娠によるホルモンバランスの変化で親知らず周囲に痛みがでたりする場合もございます。
妊娠中の抜歯は、検査のためのレントゲン撮影や、術後の痛み止め、抗生剤の服用がおなかの赤ちゃんに影響を与えることがあります。そのため妊娠前に、女性は口腔内のチェックに歯科を受診し、必要があれば親知らずの抜歯や治療を受けることをおすすめします。
親知らずによる症状
- 腫れ親知らずの歯周病が進行すると、お顔や顎周囲に腫れがでることがあります。
- 痛みズキズキした痛みや、腫れっぽさ、発熱を起こすこともあります。
- 開口障害、嚥下障害親知らず周囲の歯肉の炎症により、口が開けづらくなる、唾が飲み込みづらくなる場合もあります。
- 口臭親知らずの清掃不良により、歯肉から膿が出ている場合があり、口臭の原因となります。
親知らずを抜歯する際の
歯科医院の選ぶポイント
患者様が歯科医院を選択する
基準について
親知らずは、形や位置や向きなどが多様です。親知らずの近くに神経の管や血管があることもあり、状態を正確に把握する必要があります。よって抜歯の前には必要に応じてCT撮影を行い、三次元的に位置を確認してから抜歯をすることが望まれます。CTの装置があるクリニックを選ぶことをおすすめします。また、難易度によっては大学病院など大きな病院の口腔外科で入院抜歯を行うケースもございます。
このような歯科医院がおすすめ
- CTの装置があるクリニック
- 大学病院などの大きな病院
親知らずの抜歯について
抜歯すべき最適な時期やメリット
親知らずを抜歯した後には、痛み、腫れ、内出血、まれに発熱等があることがあります。
休日の前日など、日程的に余裕があるときに抜くのが良いでしょう。また、女性の場合は、妊娠前に行うことをおすすめします。
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まっすぐに生えている場合 | 横向きに生えている場合 | 埋まっている場合 | |
---|---|---|---|
抜歯の難易度 | ★ | ★★ | ★★★ |
抜歯にかかる時間 | 30分 | 45〜60分 | 60分 |
抜歯の費用 保険適用3割負担の金額です |
3,000円程度 | 4,000円程度 | 6,000円程度 |
抜歯をおすすめするケース
- 横向きに生えていて、手前の歯の虫歯や歯周炎のリスクを高めている
- 正常に生えていても、きちんとブラッシングができていない
- 部分的に生えている
- 繰り返し痛みがある
- 噛み合う歯がない
- 手前の歯を強く押して歯並びに影響を与えている
上記のような場合は抜歯を検討することをおすすめします。
必ずしも抜歯しなくて良いケース
- 真っ直ぐ生えており、上下で噛み合っている場合
- 骨に完全に埋まっていて位置の問題もない場合
上記のケースに加え、歯のお掃除がしっかり出来ていれば抜歯しなくても良いでしょう。
抜歯後の注意点
(腫れ、痛み止め、その他)
- 抜歯は生体的侵襲を伴いますので、2~3日を目安に痛み、腫れ等の症状がある場合がございます。術後に痛み止めをお出ししますので服薬していただきます。
- 術後にうがいを行うと、血の塊やかさぶたなどが流れてしまい、ドライソケット(抜いた部分の穴が塞がらない)になり、痛みが出てしまうことがございます。
- 抜歯当日は、激しい運動、飲酒、長風呂など血流の良くなる行動はお控えください。
- 傷口の感染予防のため、口腔内は清潔に保つ必要がありますので、日常的な歯ブラシ等のケアは引き続き行なっていただきます。
抜歯後の腫れについてQ&A
Q. 通常どの程度腫れますか?
個人差はありますが、親知らずを抜歯する際に歯肉の切開や骨を削る必要性のあった抜歯の後は腫れやすく、
また、下顎のほうが上顎と比べて腫れやすい傾向があります。
Q. 腫れる期間はどのくらいですか?
2~3日を目安に落ち着いていきます。
Q. 親知らずの抜歯前の注意点は
ありますか?
外科処置は感染を防ぐために、術前の口腔内を清潔にすることが必要となります。よって、抜歯の前に必ず事前にクリーニングと虫歯のチェックを行います。
ご自宅でも歯ブラシ、フロス等の使用を徹底し、口腔内清潔を保った状態で抜歯当日を迎えていただきます。
親知らずを抜歯する際
の流れ
-
レントゲンで位置を確認
(必要に応じてCT撮影) -
表面麻酔、局所麻酔
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歯茎を必要に応じて切開
(埋まっている場合) -
抜歯(横向きに埋まっている場合は歯を分割して抜歯します)
-
必要に応じて縫合
-
後日消毒、抜糸